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機動戦士ガンダムSEED PHASE-07「宇宙の傷跡」

脚本:吉野弘幸



(ヴェサリウス)
ヴェサリウス艦員1「誘導ビーコン補足、第4ドックに着艦指示出ました。進入ベクトル合わせ」
ヴェサリウス艦員2「ビーコン補足を確認。進路修正0ポイント、3マーク16、ポイント2デルタ。回頭180度、減速開始」
アデス「査問会には、アスラン・ザラもお連れになるので?」
クルーゼ「ああ、その場にいた者だしな。彼なら冷静で客観的な分析もできる」
アデス「オーブはかなり強い姿勢で抗議してきてるようですが……」
クルーゼ「問題は、我々にとって何が重要なのかと言うことだ、アデス」
アデス「はぁ」
クルーゼ「ヴェサリウスの修理と補給、急げよ。しばしの休暇と言っても、そうくつろいでいる時間はないぞ……おそらくな」



(OP)



(AAブリッジ)
トノムラ「再度確認しました。半径5000に、敵艦の反応は捕らえられません。完全にこちらをロストした模様」
マリュー「ふぅ……」
フラガ「アルテミスがうまく敵の目をくらましてくれたってことかな。だったら、それだけは感謝したいがね」
ナタル「しかし……」
マリュー「ええ、わかっているわ。ローラシア級がロストしてくれたのは幸いだけど、こちらの問題は何一つ解決していないわ」

(AA食堂)
フレイ「ええー?どうしても?」
サイ「そんな、どうしてもとか言われると困っちゃうんだけどさ。でもやっぱ、謝っといたほうがよくない?この場合」
トール「お前の一言のおかげで、あいつがとんでもない目にあったことは事実だからな」
フレイ「でも、私はただ……」
トール「俺たちは慣れちゃってるけどさ、あいつがコーディネーターだってのは。微妙な問題なのさ、この状況じゃね」
サイ「とにかく、言うだけは言っときなよ。ごめんってさ。この船の中で気まずいでしょ。顔あわせたときとか」
フレイ「うん……サイがそんなに言うんなら言ってもいいけど……」
トール「だけどこれからどうなるんだろうなぁ、この船……」
サイ「うん……アルテミスでは結局、補給って受けられなかったんだろ?」
トール「うん……」
サイ「ザフトもまだ、追ってくんのかな……」

(プラント行きのシャトル)
クルーゼ「ご同道させていただきます、ザラ国防委員長閣下」
ザラ「礼は不要だ。私はこのシャトルには乗っていない。いいかね、アスラン」
アスラン「わかりました、父上。お久しぶりです」

(ドックを発射するシャトル)

ザラ「リポートに添付してあった君の意見には、無論私も賛成だ。問題は奴らがそれほどに高性能のモビルスーツを開発したと言うところにある。パイロットのことなどどうでもいい」
アスラン「……?」
ザラ「その箇所は私のほうで削除しておいた」
クルーゼ「ありがとうございます。閣下ならそうおっしゃってくださると思っておりました」
ザラ「向こうに残してしまった機体のパイロットもコーディネーターだったなどと、そんな報告は穏健派に無駄な反論をさせる時間を作るだけだ。」
クルーゼ「君も自分の友人を、地球軍に寝返ったものとして報告するのは辛かろう」
アスラン「あ、いえ……あの……」
ザラ「奴らは自分達ナチュラルが操縦しても、あれほどの性能を発揮するモビルスーツを開発した。そういうことだぞ。わかるな?アスラン」
アスラン「はい……」
ザラ「我々ももっと本気にならねばならんのだ。早く戦いを終わらせるためにはな」

(AA食堂)
トール「う!み、水……!!水ぅ!」
ミリアリア「あーん、もう……」
トール「うむ……!(飲み干して)み、水を!もっと水をー!」
サイ「やめなよ、状況に合ってないギャグ」
トール「ギャグじゃねえよ!全く……」
フレイ「あ……」
サイ「え?(離れようとするフレイに近づく)なに?どうしたの?」
フレイ「だって……水の使用制限だって昨日シャワー浴びられなかったんだもん……」
一同「……」
サイ「はぁ……」

(キラが入ってくる)

トール「お、ストライクの整備、完了か?」
キラ「うん、でも、パーツ洗浄器も余り使えないから、参っちゃうよ。手間ばっかりかかって」
フレイ「はぁ……」
サイ「フレイ」
フレイ「……(不満そうに)あ、あの、キラ?」
キラ「え?」
フレイ「この間は、ごめんなさい。私考えなしにあんなこと言っちゃって」
キラ「あんなこと?」
フレイ「アルテミスでキラがコーディネーターだって……」
キラ「……!ああ、いいよ別に、そんなこと気にしてないから。ほんとの事だしね」
フレイ「ありがとう……(サイを見るが、顔をそむけられる)」
キラ(でも、ほんとこれからどうするんだろう……。艦長さん達……)

(AAブリッジ)
ナタル「これで精一杯か?もっとマシな進路は取れないのか」
ノイマン「無理ですよ、余り地球に軌道を寄せると、デブリ帯に入ってしまいます。こう進路を取れれば、月軌道に上がるのも早いんですが……」
マリュー「突破は、無理よね……」
ノイマン「デブリ帯をですか!?そりゃ無理ですよ。この速度を維持して突っ込んだら、この艦もデブリの仲間入りです」
フラガ「人類が宇宙に進出して以来、撒き散らしてきたゴミの山か……。確かに、仲間に入りたくは……あ、待てよ。デブリ帯か……」
マリュー「え……?」
フラガ「不可能を可能にする男かな、俺は」

(プラントのエレベータ内)
ニュースキャスター「(壁のテレビでニュースを流している)では次に、ユニウス7追悼1年式典を控え、クライン最高評議会議長が、声明を発表しました」
クライン「あの不幸な出来事は、我々にとって決して忘れることのできない深い悲しみです」
クルーゼ「そういえば、彼女が君の婚約者だったな」
アスラン「え、あ、はあ……」
クルーゼ「ラクス譲は今回の追悼慰霊団の代表も務めるそうじゃないか。素晴らしいことだな」
アスラン「はい……」
クルーゼ「ザラ委員長とクライン議長の血を継ぐ、君らの結びつき……次の世代にはまたとない光になるだろう。期待しているよ」
アスラン「ありがとうございます」
クルーゼ「その時代を、今我々は守らねばならん」
アスラン「……」

(プラント評議会)
クライン「ではこれより、オーブ連合首長国領、ヘリオポリス崩壊についての臨時査問委員会を始める。まずはラウ・ル・クルーゼ、君の報告から聞こう」
クルーゼ「はい」

(AAブリッジ)
トール「補給を!?」
サイ「受けられるんですか!?どこで!?」
フラガ「受けられると言うか、まあ、勝手に補給するというか」
マリュー「私達は今、デブリベルトに向かっています」
トール「デブリベルト……?」
サイ「……って、ちょっと待ってくださいよ!まさか……」
フラガ「君は勘がいいねぇ」
マリュー「デブリベルトには宇宙空間を漂う様々なものが集まっています。そこには無論、戦闘で破壊された戦艦などもあるわけで」
トール「まさかそっから補給しようって――」
フラガ「仕方ないだろう。そうでもしなきゃ、こっちがもたないんだから」
マリュー「あなた達にはその際、ポットでの船外活動を手伝ってもらいたいの」
キラ達「………」
ナタル「余り嬉しくないのは同じだ。だが他に方法はないのだ。我々が生き延びるためにはな」
キラ達「……」
マリュー「失われたものたちを漁りまわろうと言うんじゃないわ。ただ、ほんの少し今私達に必要なものを分けてもらおうというだけ。……生きるために」
キラ「……」



(アイキャッチ)



(プラント評議会)
クルーゼ「以上の経過でご理解いただけると思いますが、我々の行動は決してヘリオポリス自体を攻撃したものではなく、あの崩壊の最大原因はむしろ、地球軍にあるものとご報告いたします」
議員1「やはり、オーブは地球軍に与していたのか」
議員2「条約を無視したのはあちらのほうですぞ!」
議員3「だが、アスハ代表は……」
議員1「地球に住むものの言葉など、当てになるものか」
ザラ「しかし、クルーゼ隊長。その地球軍のモビルスーツ、果たしてそこまでの犠牲を払ってまでも、手に入れる価値のあったものなのかね?」
クルーゼ「その驚異的な性能については、実際にその1機に乗り、また取り逃がした最後の機体と交戦経験のある、アスラン・ザラより報告させていただきたく思いますが」
クライン「アスラン・ザラよりの報告を許可する」

(待機中のイージスがモニターに映る)

議員全員「……!」
アスラン「まずイージスと言う名称のついたこの機体ですが、大きな特徴は――」

(デブリベルト付近、ミストラルと共に発進するストライク)

(プラント評議会)
アスラン「以上です」
議員1「こんなものを作り上げるとは……!ナチュラルどもめ!」
議員3「でもまだ試作機段階でしょう。たった5機のモビルスーツなど脅威には……」
議員4「だが、ここまで来れば量産は目前だ。その時になって慌てればいいとでもおっしゃるか?」
議員2「これははっきりとしたナチュラルどもの意思の現れですよ!奴らはまだ戦火を拡大させつもりなんです!」
クライン「(騒ぎ立てる議員に向かって)静粛に、議員方、静粛に」
クルーゼ「ふふ……」
アスラン「……」

(デブリベルト内のストライク)

(プラント評議会)
ザラ「戦いたがる者などおらん。我らの誰が好んで戦場へ出たがる」

(アークエンジェルとストライク)

(プラント評議会)
ザラ「平和に、穏やかに、幸せに暮らしたい。我らの願いはそれだけだったのです」

(デブリベルト)
キラ「……!」
サイ「あ……」

(プラント評議会)
ザラ「だがその願いを無残にも打ち砕いたのは誰です。自分達の都合と欲望ためだけに、我々コーディネーターを縛り、利用し続けてきたのは!」

(デブリベルト)
キラ「あ……!」
ミリアリア「……!」
トール「これって……!」

(プラント評議会)
ザラ「我らは忘れない。あの血のバレンタイン、ユニウス7の悲劇を」

(崩壊するユニウス7)

(ユニウス7崩壊跡)
トール「大陸……こんなところに?」
キラ「ユニウス7……?」

(AAブリッジ)
マリュー「……!!」

(プラント評議会)
ザラ「243721名……それだけの同胞を失った、あの忌まわしい事件から1年……。それでも我々は最低限の要求で戦争を早期に終結すべく、心を砕いてきました。だが、ナチュラルは、その努力をことごとく無にしてきたのです!」

(ユニウス7残骸内)
ミリアリア「(浮いている死体を見て)きゃぁぁ!!」
キラ「……」

(プラント評議会)
ザラ「我々は我々を守るために戦う。戦わねば守れないならば、戦うしかないのです!」
クライン「……」

(AAブリッジ)
キラ「あそこの水を!?本気なんですか!?」
ナタル「あそこには1億トン近い水が凍りついているんだ」
キラ「でも!ナタルさんだって見たでしょう!?あのプラントは、何十万人もの人が亡くなった場所で……!それを……!」
マリュー「水は、あれしか見つかっていないの」
フラガ「誰も、大喜びしてるわけじゃない。水が見つかったー!ってよ……」
キラ「フラガ大尉……」
フラガ「誰だってできればあそこに踏み込みたくはないさ。けどしょうがねぇだろう。俺達は生きてるんだ!ってことは、生きなきゃなんねぇってことなんだよ!」
キラ達「……」

(エピデンス1前)
クライン「アスラン」
アスラン「クライン議長閣下」
クライン「そう他人行儀な礼をしてくれるな」
アスラン「いえ、これは……」
クライン「ようやく君が戻ったと思えば、今度はラクスが仕事でおらん。全く、君らはいつ会う時間が取れるのかな」
アスラン「はぁ、申し訳ありません」
クライン「私に謝られてもな。しかし、また大変なことになりそうだ。君の父上の言うことも、わかるのだがな……」
クルーゼ「アスラン・ザラ!あの新造艦とモビルスーツを追う」
アスラン「……?」
クルーゼ「ラコーニとポルトの隊が、私の指揮下に入る。出港は72時間後だ」
アスラン「は!」
クルーゼ「失礼いたします、クライン議長閣下(アスランと共にその場を去る)」
クライン「我々にはそう時間はないのだ。いたずらに戦火を拡大してどうする?」
ザラ「だからこそ許せんのです。我々の、邪魔をするものは」

(挿入歌「静かな夜に」)

(プラント)
(クルーゼと別れるアスラン)

(デブリベルト)
(折り紙の花を作り、ユニウス7跡にばらまく。黙祷をするAAクルー一同)

(プラント墓地)
(母の墓に花を供えるアスラン)
ザラ(回想)「我々は我々を守るために戦う。戦わねば守れないならば、戦うしかないのです!」

(挿入歌終了)

(デブリベルト)
マリュー「後どのくらい?」
トノムラ「4時間ってとこですかね。弾薬の方は後1往復で終了ですが」

(辺りを探索するストライク)

キラ「民間船?撃沈されたのか、これ……。……!強行偵察型複座のジン!なんでこんなところに……。アークエンジェルが見つかって応援を呼ばれたらアウトだ……!」

(ジンをロックオンする)

キラ(行け……行ってくれ……!そのまま……。よし)

(ミストラルがジンに見つかる)

キラ「あ!馬鹿野郎、なんで気づくんだよ!!」
チャンドラII世「ザフトの!?」
カズイ「うわぁ!」
キラ(僕は……!)

(ジンの射撃がミストラルをかすめる)

チャンドラII世
&カズイ
「うわああ!!」

(ストライク、ジンを撃墜する)

キラ「ああ……あ……!」
カズイ「ありがとう、キラ……」
チャンドラII世「マ、マジ死ぬかと思ったぜ!」
フラガ「ボウズ、どうし――」
キラ「……(通信を切る)……ぐっ!ううっ……う……!(レーダーに反応)!救命ポット……?」

(AAドック)
ナタル「つくづく君は、落し物を拾うのが好きなようだな」
マードック「開けますぜ」

(銃を構えるAA下士官達。開くポット)

ハロ「ハロ!ハロ!ハロ、ラクス、ハロ!」
ラクス「ありがとう、ご苦労様です」
一同「……」
キラ「……」



(ED)




予告「ナチュラルであること、そしてコーディネーターであること。それは、自ら選んだわけではない運命。それぞれの進む道は、次々と枝を広げ、揺れる。運命を選び取り、歩むものたちの上に響くのは、癒しの歌か。次回、機動戦士ガンダムSEED『敵軍の歌姫』。流れる歌の向こうに、何を見るのか、ガンダム!」

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