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機動戦士ガンダムSEED PHASE-06「消えるガンダム」

脚本:遠藤明範 両澤千晶



(AAブリッジ 前回の回想)
マリュー「ご苦労様です。本艦の要請受領を感謝いたします」
ナレーション「地球軍、ユーラシアの軍事要塞アルテミス。辺境の小惑星に作られた基地ながら、その”傘”と呼ばれる光波防御帯に守られ、未だ難攻不落の拠点である。クルーゼ隊の追撃をどうにか振り切ったアークエンジェルは、ようやくその傘の中へ入った」
マリュー「少佐殿!」
ビダルフ「お静かに願いたい、艦長殿」



(OP)




(アークエンジェルの中に入ってくるアルテミスの武装兵)

避難民「……!」
フレイ「なにこれ……なんなの?ねえ、サイ」
武装兵「よーし、そのままだ!」
避難民「!」
武装兵「動くな!」

(AAブリッジ)
ミリアリア「きゃあ!!」
武装兵「動くな!」
マリュー「何事です!……!」

(AAドック)
武装兵「全員一箇所に集まれ!」
フラガ「ちっ……」

(AAブリッジ)
ナタル「ビダルフ少佐!これはどういうことか説明していただきたい。我々は――」
ビダルフ「保安措置として、艦のコントロールと火器管制を封鎖させていただくだけですよ」
ナタル「封鎖!?しかし、こんなやり方……」
ビダルフ「貴艦には船籍登録もなく、無論、我が軍の識別コードもない。状況などから判断して入港は許可しましたが、残念ながらまだ友軍と認められたわけではありませんのでね」
ナタル「しかし――!!」
ビダルフ「軍事施設です。このくらいのことは、ご理解いただきたいが?」
ナタル「……」
マリュー「……」
ビダルフ「では、士官の方々は私と同行願いましょうか。事情をお伺いします」

(連行されるマリュー、ナタル、フラガ)

(AA食堂)
マードック「なんだってんだよ、お前達は!!ふざけるんじゃねぇよ!」
ノイマン「くそ……!」

(アルテミス司令室)
ガルシア「大西洋連邦、極秘の軍事計画か……。よもやあんなものが転がりこんでこようとはな……」
副官「ヘリオポリスがかんでるという噂は、本当だったようですね」
ガルシア「連中にはゆっくりと滞在していただくとしよう」
武装兵「(ノック音)失礼します。不明艦より、士官3名を連れてまいりました」
ガルシア「入れ!……ようこそ、アルテミスへ!」

(AA食堂)
避難民「(不安の声を上げている)」
サイ「ユーラシアって味方のはずでしょう?大西洋連邦とは、仲悪いんですか?」
トノムラ「そういう問題じゃねぇよ」
サイ「……」
ロメル「はぁ……識別コードがないのが悪い」
トール「それって、そんなに問題なんですか?」
チャンドラII世「どうやらね……」
マードック「本当の問題は、別のところにありそうだがな」
ノイマン「ですね……」
キラ「ふぅ……」

(アルテミス司令室)
ガルシア「マリュー・ラミアス大尉、ムウ・ラ・フラガ大尉、ナタル・バジルール少尉か……。なるほど、君達のIDは確かに大西洋連邦の物のようだな」
フラガ「お手間を取らせて、申し訳ありません」
ガルシア「いやなに、輝かしき君の名は私も耳にしているよエンデュミオンの鷹殿。グリマルディ戦線では私も参加していた」
フラガ「おや、ではビラード准将の部隊に?」
ガルシア「そうだ。戦局では敗退したが、ジンを5機落とした君の活躍には、我々も随分励まされたものだ」
フラガ「ありがとうございます」
ガルシア「しかし、その君があんな艦と共に現れるとはなぁ……」
フラガ「特務でありますので、残念ながら子細を申し上げることはできませんが」
ガルシア「なるほどなぁ。だがすぐに補給をというのは難しいぞ」
マリュー「我々は一刻も早く、月の本部に向かわなければならないのです。まだ、ザフトにも追われておりますので……」
ガルシア「ザフト?」

(モニターにガモフが映し出される)

マリュー「!」
ナタル「ローラシア級!?」
ガルシア「見ての通り、奴らは傘の外をうろうろしている。先刻からずっとな。まあ、あんな艦の1隻や2隻、ここではどうということはない。だが、これでは補給を受けても出られまい」
フラガ「奴らが追っているのは、我々です!このまま留まり、アルテミスにまで被害を及ばせては……!」
ガルシア「はははははは……被害だと?このアルテミスが?奴らは何もできんよ。そして、やがて去る。いつもの事だ」
フラガ「しかし、司令!彼らは――!」
ガルシア「ともかく君達も少し休みたまえ。だいぶお疲れの様子だ。部屋を用意させる」
フラガ「司令、しかし……!」
兵士「失礼します!」
フラガ「……!」
ガルシア「奴らが去れば、月本部と連絡が取りようもある。全てはそれからだ……」
フラガ「……アルテミスは、そんなに安全ですかね」
ガルシア「ああぁ、まるで母の腕の中のようになぁ?」

(AA食堂)
チャンドラII世「いつまでこんな状態なんですかねぇ」
トノムラ「わからん。艦長たちが戻らなきゃ、なにもわからんよ」
ロメル「友軍相手に暴れるわけにもいかないしなぁ……」
サイ「色々あるんだな、地球軍の中でも……」
キラ「(アスランの事を思い出し)はぁ……」

(アルテミスの一室)
ナタル「いくら不明艦と言っても、この扱いは不当です!」
フラガ「仕方ないだろう?連中は今、我々を艦に帰したくないんだからさ」
ナタル「……!」
フラガ「俺が気になるのは……連中はこのアルテミスだけは、絶対に安全だって思い込んじまってることだよ」

(ガモフ)
ゼルマン「傘はレーザーも実体弾も通さない。ま、向こうからも同じことだがな」
ディアッカ「だから攻撃もしてこないってこと?馬鹿みたいな話だな」
ゼルマン「だが、防御兵器としては一級だぞ。そして重要な拠点でもないため、我が軍もこれまで手出しせずに来たが……。あの傘を突破する手立ては今のところない。厄介なところに入り込まれたな」
ディアッカ「じゃあどうするの?出てくるまで待つ?ふっふふふ……」
ゼルマン「…!」
イザーク「ふざけるなよ、ディアッカ。お前は戻られた隊長になにもできませんでした、と報告したいのか?それこそいい恥さらしだ」
ディアッカ「……(無言で顔をそむける)」
ニコル「傘は、常に開いているわけではないんですよね?」
ゼルマン「ああ、周辺に敵のいない時まで展開させてはおらん。だが閉じているところを近づいても、こちらが要塞を射程に入れる前に察知され、展開されてしまう」
ニコル「僕の機体、あのブリッツならうまくやれるかもしれません」
イザーク
&ゼルマン
「?」
ニコル「あれにはフェイズシフトの他にもう一つ、ちょっと面白い機能があるんです」

(指令ブース)
ガルシア「なんだ?」
アルテミス兵「ザフト艦ローラシア級離脱します。イエロー18、マーク20、チャーリー、距離700。さらに遠ざかりつつあります」
ガルシア「わかった。後はライズに任せる。引き続き対空監視を怠るなよ」
アルテミス兵「は!」
ガルシア「どうだ?」
副官「は、それが……艦の方の調査は順調なのですが、モビルスーツのほうが……」
ガルシア「どうした?」
副官「OSに解析不可能なロックがかけられていて、未だに起動すらできないということで……」
ガルシア「なに?」
副官「今、技術者全員で解除に全力を挙げているということなんですが……」
ガルシア「ちぃ……」

(ガモフ)
ガモフ艦員「アルテミスとの距離、3500。光波防御帯、以前変化なし」

(ブリッツコックピット)
ニコル「ミラージュコロイド、電磁圧チェック。システムオールグリーン。はぁ……テストもなしの一発勝負か。大丈夫かな……」

(ガモフドック休憩室)
イザーク「しかし、地球軍も姑息な物を作る……」
ディアッカ「ニコルにはちょうどいいさ。臆病者にはね……」

(AA食堂)
ガルシア「この艦に積んであるモビルスーツのパイロットと技術者は、どこだね!」
副官「パイロットと技術者だ!この中にいるだろう!」
キラ「ぁ……(マードックに座らされる)……」
ノイマン「なぜ我々に聞くんです」
副官「なに!?(胸倉を掴む)」
ノイマン「艦長達が、言わなかったからですか……!?それとも、聞けなかったからですか!」
キラ「あ……」
フラガ(回想)「ストライクの起動プログラムをロックしておくんだ。君以外、誰も動かすことができないようにな……」
ガルシア「なるほど。そうか、君達は大西洋連邦でも極秘の軍事計画に選ばれた、優秀な兵士諸君だったな」
ノイマン「ストライクをどうしようってんです!?」
ガルシア「別にどうもしやしないさ……。ただ、せっかく公式発表より先に見せていただける機会に恵まれたんでね……。パイロットは?」
マードック「フラガ大尉ですよ。お聞きになりたいことがあるなら、大尉にどうぞ」
ガルシア「先ほどの戦闘はこちらでもモニターしていた。ガンバレル付きの零式を扱えるのは、あの男だけだと言うことくらい私でも知っているよ」
ミリアリア「あ……きゃあ!」
トール「ミリアリア!」
キラ「……!(また座らされる)」
ガルシア「(ミリアリアを羽交い絞めにしつつ)女性がパイロットということもないと思うが……この艦は艦長も女性ということだしなぁ」
ミリアリア「痛い!」
キラ「やめてください、卑怯な!」
マードック「ボウズ――!」
キラ「あれに乗っているのは僕ですよ!」



(アイキャッチ)




(アルテミス管制室)
オペレータ「定時哨戒、近接防空圏内に敵影、艦なし」
管制室長「よし、もういいだろう……。全周囲光波防御帯収容。第2警戒態勢に移行」

(ブリッツ発進)

ニコル「ミラージュコロイド生成良好。散布減損率35%。使えるのは、80分が限界か……」

(AA食堂)
ガルシア「ボウズ、彼女を庇おうという心意気は買うがね……。あれは貴様のようなひよっこが扱えるようなもんじゃないだろう。ふざけたことをするな!」
キラ「!(放たれた拳をかわしてガルシアを投げ飛ばす)」
ガルシア「うわ!ぐっ!」
キラ「僕はあなたに殴られる筋合いはないですよ!」
副官「司令!」
キラ「なんなんですか!あなた達は!」
マードック「キラやめろ!抵抗するな……!」
副官「貴様ぁ!」
サイ「やめてください!(突き飛ばされる)う!」
フレイ「きゃあ!サイ!ちょっとやめてよ!キラが言ってる事は本当よ!その子がパイロットよ!」
副官「……!?」
トール「フレイっ」
副官「貴様らいい加減にしないか!」
フレイ「嘘じゃないわよ!だってその子、コーディネーターだもの!」
副官「えぇ……!?あ……」
マードック「ああ……」
ガルシア「コーディネーター……」

(連行されるキラ)

トール「何であんなこと言うんだよお前は」
フレイ「だって……でも、本当のことじゃない」
トール「キラがどうなるかとか、考えないわけお前って!」
フレイ「お前お前ってなによ!キラは仲間なんだし、ここは味方の基地なんでしょう?ならいいじゃないの!」
トール「地球軍がなにと戦ってると思ってるんだよ!!」

(アルテミスドック)
キラ「OSのロックを外せばいいんですか」
ガルシア「まずはな。だが君にはもっと色々なことができるんだろう?」
キラ「なにがです」
ガルシア「例えばこいつの構造を解析し、同じものを作るとか。逆にこういったモビルスーツに有効な兵器を作るとかね……」
キラ「僕はただの民間人で学生です!軍人でもなければ、軍属でもない!そんなことをしなければならない理由はありません!」
ガルシア「だが君は裏切り者のコーディネーターだ」
キラ「……!?裏切り者!?(脳内に桜の下での思い出が映る)」
ガルシア「どんな理由でかは知らないが、どうせ同胞を裏切ったんだろう?ならば色々と……」
キラ「違う!僕は……!」
ガルシア「地球軍側につくコーディネーターというのは貴重だよ……。なに心配することはない。君は優遇されるさ。ユーラシアにな……」

(静かに接近するブリッツ)

(ストライクのロックを解除するキラ)

(アルテミス管制室)
オペレータ「この前の手紙で、おふくろの容態が悪いって……」

(おもむろにビームを発射するブリッツ)

(アルテミスドック)
ガルシア「!?」

(アルテミス管制室)
オペレータ「なんだ!?」
管制室長「どうした!?」

(ストライクコックピット)
キラ「!?」

(アルテミスの一室)
ナタル「……なに!?」

(AA食堂)
全員「……!?」

(アルテミスドック)
ガルシア「管制室、この振動はなんだ!?」
オペレータ「不明です!周辺に機影なし!」
ガルシア「だがこれは爆発だぞ!!」

(さらに破壊されるアルテミス)

(ストライクコックピット)
キラ「!!これは……!?」

(AA食堂)
トール「なんだ!?攻撃か!?」

(アルテミス管制室)
管制室長「超長距離からの攻撃かも知れん!傘を開け!なにをしている!?」

(アルテミス周辺)
ニコル「あれか!」

(ビームサーベルで光波防御帯発生装置を破壊する)

(アルテミス管制室)
オペレータ「防御エリア内に、モビルスーツ!リフレクターが落とされていきます!」

(アルテミスドック)
ガルシア「なんだと!?」

(アルテミス周辺)
ニコル「あいつは港か!?」

(AA食堂)
ノイマン「おい!この警報はなんだ!?」
アルテミス兵「い、いや……これは……」
トノムラ「わからねぇのかよ!」
ノイマン「だったら誰かに聞いて来い!どう考えたって、これは攻撃だ!!」
アルテミス兵「!ま、待てぇ!!(逃げるノイマンに銃を構えるが、取り押さえられる)う!」
チャンドラII世「そんなことしてる場合かよ!」

(AAブリッジ)
ノイマン「起動するぞ!」
ロメル「艦長たちが!」
ノイマン「このままじゃ、ただの的だ……!」

(アルテミスの一室)
フラガ「ちぃ、やられたな!(わざとらしく)うあーー!!今の爆発で部屋に亀裂が入ったーー!!空気がぁ……!!叫べよ……ドア開けさせるんだ……」
マリュー「!キャァァァ!!!タスケテーー!!死んじゃうーー!!」
フラガ「うああ!!早く開けてくれー!!」
マリュー「キャー!助けてー!」
ナタル「…(困惑)」
フラガ「あー!うわーー!!」
マリュー「開けて早くぅ!!」
フラガ「!(部屋に入ってきた兵士を殴り倒す)」
ナタル「大尉!」
アルテミス兵士「おい、どうした!?」
フラガ「ふ!!」
アルテミス兵士「ぐわ……!!」
フラガ「急ぐんでね……!!」
マリュー「確かに、アルテミスと心中は御免ね!」
ナタル「……(開き直った様子で部屋を出る)」

(ゴミのように吹き飛ぶメビウス達)

(アルテミスドック)
ガルシア「傘が破られた!?そんな馬鹿な!!」
整備員「司令!」
キラ「!(コックピットから蹴り出す)」
整備員「うわああ!」
ガルシア「うわ!貴様!!」
キラ「攻撃されてるんでしょう!?こんなことしてる場合ですか!」
ガルシア「くそぉ!!」

(ソードストライカー装備。PS装甲起動)

(アルテミス内)
ニコル「いた!あいつ、今日こそ!!」
キラ「くそ!こんなところまで!」

(アルテミス宙域)
イザーク「あいつは!」
ディアッカ「あの要塞ごと沈めてやるさ!」

(AAブリッジ)
ロメル「艦長!」
フラガ「よくやったな、ボウズども!」
サイ「なんなんですかこの要塞」
マリュー「ここでは身動きが取れないわ。アークエンジェル、発進します!」

(アルテミス内)
キラ「く!」

(ブリッツと戦うストライク)

ガルシア(回想)「だが君は裏切り者のコーディネーターだ。地球軍側につくコーディネーターというのは貴重だよ……」
キラ「くそ……!もう僕達を放って置いてくれぇぇぇ!!」

(ストライクの猛攻)

ニコル「!!」

(アルテミス周辺でまたゴミのように吹き飛ぶメビウス)

(指令ブース)
ガルシア「なにをしている!?船を出せ!!このアルテミスがたった1隻の敵に!」

(吹き飛ばされたメビウスが司令ブースに迫る)

ガルシア「うわぁぁぁぁ!!!(爆発に包まれる)」

(アルテミス内)
ディアッカ「あの艦は!?」
イザーク「わからない!ニコル、どこだ!」

(AAブリッジ)
マリュー「ストライクを戻して!反対側の港口よりアルテミスを離脱します!」
ミリアリア「キラ!キラ戻って!アークエンジェル、発進します!」

(アルテミス内)
キラ「……!」
ニコル「逃げるのかぁ!!!」

(AAブリッジ)
ナタル「ストライク、着艦!」
マリュー「アークエンジェル発進!最大戦速!」

(爆発するアルテミスから逃れるアークエンジェル。それに続いてガンダム3機が出てくる)

ニコル「く……!!」

(AAドック)
フラガ「ボウズ!あ……?」
マードック「……?」
フラガ「どうしたんだ?」
マードック「??(肩をすくめる)」

(キラの自室)
キラ「はぁ……」
トリィ「トリィ?」
キラ「僕は……(涙を流す)」



(ED)



予告「血のバレンタイン、それは虚空に輝く凶器の光が、止めた全ての時間。果て無き闇を漂う魂は、もはや我らに何も伝える術は持たぬのか。生者と死者、隔てる境界は脆く凍てついた宇宙(そら)の大地に少年達は、人の業を知る。次回、機動戦士ガンダムSEED『宇宙(そら)の傷跡』。悲しみの向こうに、飛べ、ガンダム!」