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機動戦士ガンダムSEED PHASE-03「崩壊の大地」

脚本:吉野弘幸



ナレーション「コズミックイラ70、血のバレンタインの悲劇によって、地球、プラント間の緊張は一気に本格的武力衝突へと発展した。誰もが疑わなかった数で勝る地球軍の勝利。が、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまますでに11ヶ月が過ぎようとしていた」

(前回の回想)
クルーゼ「今のうちに沈んでもらう!」
キラ「うあああああああ!!(ランチャーを装備する)ビーム兵器?…!」
クルーゼ「ん?新型か?仕留め損ねたか」
フラガ「戦艦?コロニーの中にか?」
マリュー「アークエンジェル!?」



(OP)




(AA)
ノイマン「開口部を抜けました。コロニー内部に進入!」
トノムラ「モルゲンレーテは大破!ストライクが起動中!いや…戦闘中です!」
ナタル「!回避、面舵!」

(弾を避けられたシグーはストライクに目標を変更)

(ヘリオポリス)
クルーゼ「フェイズシフト……これはどうだ」
マリュー「伏せて!」
キラ「!」
クルーゼ「ちっ……!強化APSV弾でも……」
ナタル「艦尾ミサイル発射管、7番から10番まで発射準備!目標、敵モビルスーツ!レーザー誘導!いいな、間違えてもシャフトや地表に当てるなよ」
ロメル「…!」
ナタル「てー!」
クルーゼ「ちぃ!」

(シャフトに当たってケーブルが千切れる)

ミリアリア「きゃあ!」
キラ「じょ、冗談じゃない!」
マリュー「待って、それは――!」
クルーゼ「!」
キラ「……!!」
クルーゼ「これほどまでの火力、モビルスーツに持たすとはな……」

(アグニで開いた大穴から逃げるシグー)

(AA)
トノムラ「敵モビルスーツ、離脱します!」
ナタル「ふぅ……着陸する。対地速度合わせ、重力の発生に注意しろよ」

(キラの事を思い出しながらOSを最適化するアスラン)

(ヴェサリウス内)
ヴェサリウス艦員「第5プログラム班は待機。インターフェイスオンライン。データパスアップ、ウィルス障壁、抗体注入完了。データベース、コンタクトまで300ミリ秒。第2班、パワーパックの曲線に注意せよ。第4班は――」
整備員「うわ!」
アスラン「あ、すまない!ついそっちまでいじってしまった」
整備員「ああ、大丈夫です。外装チェックと充電は終わりました。そちらは、どうです?」
アスラン「こちらも終了だ。しかし、よくこんなOSで……」
ヴェサリウス艦員「クルーゼ隊長機、帰艦。被弾による損傷あり。消化班、救護班はBデッキへ」
整備員「隊長機が腕を……!」
アスラン(まさか……?でも、あいつなら……)

(AA)
ナタル「ラミアス大尉!」
マリュー「バジルール少尉!」
ナタル「ご無事で、何よりでありました」
マリュー「あなたたちこそ、よくアークエンジェルを……。おかげで助かったわ」
ナタル「!(降りてくるキラを見て)」
マードック「おいおい、なんだってんだ?子どもじゃねぇか。あのボウスがあれに乗ってたってのかよ」
ナタル「ラミアス大尉……これは……」
マリュー「あ……」
フラガ「へぇ、こいつは驚いたな。地球軍第7機動艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉。よろしく」
マリュー「第2宙域第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です」
ナタル「同じく、ナタル・バジルール少尉であります」
フラガ「乗艦許可を貰いたいんだがね。この艦の責任者は?」
ナタル「……艦長以下、艦の主だった士官は皆、戦死されました。よって今は、ラミアス大尉がその任にあると思いますが……」
マリュー「え……?」
ナタル「無事だったのは、艦にいた下士官と十数名のみです。私はシャフトの中で、運良く難を……」
マリュー「艦長が……そんな……」
フラガ「やれやれ、なんてこった…。あー、ともかく、許可をくれよラミアス大尉。俺の乗ってきた船も、落とされちまってね」
マリュー「あ……はい。許可いたします」
フラガ「で、あれは?」
マリュー「ご覧の通り、民間人の少年です。襲撃を受けたとき、なぜか工場区にいて……私がGに乗せました。キラ・ヤマトと言います」
フラガ「ふーん」
マリュー「あ、彼のおかげで先にもジン一機を撃退し、あれだけは守ることができました」
ナタル「ジンを撃退した!?あの子どもが……?」
フラガ「俺は、あれのパイロットになるひよっこ達の護衛できたんだがね。連中は……」
ナタル「ちょうど司令ブースで艦長に着任挨拶をしているときに爆破されましたので、共に……」
フラガ「そうか……(キラ達に近づくフラガ達)」
キラ「な、なんですか」
フラガ「君…コーディネーターだろう?」
サイ達「……!」
ナタル達「!?」
キラ「……はい」

(周りの士官が銃を向ける。キラをかばうようにトールが前に出る)

(ヴェサリウス)
クルーゼ「ミゲルがこれを持って帰ってくれて助かったよ。でなければ、いくら言い訳したところで、地球軍のモビルスーツ相手に機体を損ねた私は、大笑いされていたかもしれん。オリジナルのOSについては、君らもすでに知っての通りだ。なのになぜ、この機体だけがこんなに動けるかはわからん。だが我々がこんなものをこのまま残し、放って置くわけにはいかんということははっきりしている。捕獲できぬとなれば、今ここで破壊する。戦艦もな。あなどらずにかかれよ」
アスラン達「は!」
アデス「ミゲル、オロールはただちに出撃準備!D装備の許可が出ている。今度こそ完全に息の根を止めてやれ!」
ミゲル&
オロール
「はい!」
アスラン「アデス艦長、私も出撃させてください!」
アデス「ん?」
クルーゼ「機体がないだろう。それに君はあの機体の奪取という重要任務をすでに果たした」
アスラン「ですが!」
アデス「今回は譲れ、アスラン!ミゲル達の悔しさも、君に引けは取らん」
アスラン「……(黙ってうつむく)」

(AA)
トール「なんなんだよ、それは!」
キラ「トール…」
トール「コーディネーターでも、キラは敵じゃねぇよ!さっきの見てなかったのか!?どういう頭してんだよ、お前らは!」
マリュー「銃を降ろしなさい」
ナタル「ラミアス大尉、これは一体……」
マリュー「そう驚くこともないでしょう?ヘリオポリスは中立国のコロニーですもの。戦火に巻き込まれるのが嫌で、ここに移ったコーディネーターがいたとしても不思議じゃないわ……違う?キラ君」
キラ「ええ、まあ……僕は、一世代目のコーディネーターですから」
ロメル「一世代目?」
フラガ「両親は、ナチュラルってことか。……いや、悪かったな。とんだ騒ぎにしちまって。俺はただ聞きたかっただけなんだよね」
マリュー「フラガ大尉……」
フラガ「ここに来るまでの道中、これのパイロットになるはずだった連中のシミュレーションを結構見てきたが、奴らのろくさ動かすにも四苦八苦してたぜ。…やれやれだな」
ナタル「大尉、どちらへ!?」
フラガ「どちらって……俺は被弾して降りたんだし、外にいるのはクルーゼ隊だぜ?」
マリュー達「え……!?」
フラガ「あいつはしつこいぞー。こんなところでのんびりしてる暇は、ないと思うがね」

(ヴェサリウス内)
整備員「6番コンテナだ!ジンにD装備を!」
アナウンス「作戦開始0100時、発進機待機位置へ前進」
ディアッカ「D装備だって」
イザーク「要塞攻略戦でもやるつもりなのかな、クルーゼ隊長は」
ニコル「でも、そんなことしてヘリオポリスは……」
ディアッカ「しょうがないんじゃない?」
イザーク「自業自得です。中立とか言っといてさ」
ニコル「……」

(AA)
ロメル「水はモルゲンレーテから持って来る他ないだろ!」
マードック「ストライクのパーツと弾薬が先だ!急げ!」
整備員「マードック軍曹、来てくださいよ!」

カズイ「この状況で寝られちゃうってのも凄いよな……」
ミリアリア「疲れてるのよ、キラ……ほんとに大変だったんだから」
カズイ「大変だったか……ま、確かにそうなんだろうけどさ」
サイ「何が言いたいんだ、カズイ」
カズイ「別に……ただキラにはあんなことも大変だったで済んじゃうもんなんだなって思ってさ。キラ……OS書き換えたって言ってたじゃん、あれの。それっていつさ……?」
サイ「いつって……」
カズイ「キラだって、あんなもんのことなんか知ってたとは思えない。……じゃあ、あいついつOS書き換えたんだよ……」

(回想、ジンを殴るストライク)

カズイ「キラがコーディネーターだってのは知ってたけどさ。遺伝子操作されて生まれてきたやつら、コーディネーターってのはそんなことも、大変だったで出来ちゃうんだぜ」
サイ達「……」
カズイ「ザフトってのはみーんなそうなんだ。そんなんと戦って勝てんのかよ、地球軍は……」



(アイキャッチ)




(AA)
マリュー「コロニー内の避難は、ほぼ100%完了していると言うことだけど、さっきので警報レベルは9に上がったそうよ」
フラガ「シェルターは完全にロックされちまったってわけか。ああ、けどそんじゃ、あのガキどもはどうすんだ?」
ナタル「え?」
フラガ「もう、どっか探して放り込むってわけにも、いかないじゃないの」
ナタル「彼らは軍の機密を見たため、ラミアス大尉が拘束されたのです。このまま解放するわけには……」
フラガ「じゃあ、脱出にも付き合ってもらうってのか?出てきゃ、ど派手な戦闘になるぞ」
マリュー「……ストライクの力も、必要になると思うのですけど……」
ナタル「あれをまた、実戦で使われると?」
マリュー「使わなきゃ…脱出は無理でしょ?」
ナタル「……」
フラガ「あのボウズは、了解してるのかい?」
ナタル「今度はフラガ大尉が乗られれば……」
フラガ「おい、無茶言うなよ。あんなもんが、俺に扱えるわけないだろ」
ナタル「え?」
フラガ「あのボウズが書き換えたっていうOSのデータ、見てないのかぁ?あんなもんが、普通の人間に扱えるのかよ」
ナタル「なら、元に戻させて……とにかくあんな民間人の、しかもコーディネーターの子どもに、大事な機体をこれ以上任せるわけには……」
フラガ「そんでのろくさ出てって、的になれっての」
ナタル「……」

(ヴェサリウス内)
アナウンス「オロール機、発進完了。ミゲル機、カタパルトへ」
整備員1「ハッチ閉鎖!うお!」
整備員2「なんだおい!」
整備員3「あれも出るのか!?」
整備員2「聞いてないぞ?」
アデス「なに!?アスラン・ザラが奪取した機体でだと!?呼び戻せ!すぐに帰艦命令を!」
クルーゼ「行かせてやれ」
アデス「は?」
クルーゼ「データの吸出しは終わっている。かえって面白いかも知れん。地球軍のモビルスーツ同士の戦いと言うのも」

(AA)
チャンドラII世「コロニー全域に電波干渉!Nジャマー、数値増大!」
ナタル「なんだと?」
フラガ「ちぃ、やっぱこっちが出てくまで待つ気はないか、あの野郎ー」
ナタル「またヘリオポリス内で仕掛けてくるつもりですか」
フラガ「楽だぜぇ。こっちは発砲できない。向こうは撃ち放題だ」

キラ「お断りします!僕たちをもうこれ以上、戦争になんか巻き込まないでください!」
マリュー「……キラ君」
キラ「あなたの言ったことは、正しいのかもしれない。僕たちの外の世界は戦争をしてるんだって……。でも僕らはそれが嫌で、戦いが嫌で中立のここを選んだんだ!それを……!」
ロメル「ラミアス大尉、ラミアス大尉!至急ブリッジへ!」
マリュー「どうしたの?」
フラガ「モビルスーツが来るぞ!早く上がって指揮を取れ!君が艦長だ」
マリュー「私が!?」
フラガ「先任大尉は俺だが、この艦のことはわからん!」
マリュー「……。わかりました。では、アークエンジェル発進準備、総員第一戦闘配備。大尉のモビルアーマーは?」
フラガ「駄目だ、出られん!」
マリュー「では、フラガ大尉にはCICをお願いします。聞いての通りよ、また戦闘になるわ。シェルターはレベル9で、今はあなた達を降ろしてあげることも出来ない。どうにかこれを乗り切って、ヘリオポリスから脱出することが出来れば……」
ミリアリア「トール……(手を繋いで抱き合う二人)」
キラ「卑怯だ、あなた達は……!」
マリュー「キラ君……」
トール「キラ……」
キラ「そしてこの艦にはモビルスーツはあれしかなくて、今扱えるのは僕だけだって言うんでしょう!」

マリュー「ヘリオポリスからの脱出を最優先とする。戦闘ではコロニーを傷つけないよう留意せよ」
トノムラ「んな無茶な……」

> マードック「3番コンテナ開け!ソードストライカー装備だ!」
キラ「ソードストライカー……剣か。今度は、あんなことないよな……」

トノムラ「接近する熱源1。熱紋パターン、ジンです」
フラガ「なんてこったい!拠点攻撃用の重爆撃装備だぞ!あんなもんをここで使う気か!?」
トノムラ「タンネンパウム地区から、さらに別部隊侵入!」
ナタル「ストライク、発進させろ」
トノムラ「は…!一機はX-303、イージスです!」
ナタル&フラガ
&マリュー
「!」
マリュー「もう、実戦に投入してくるなんて……」
フラガ「今は敵だ!あれに沈められたいか!」
ナタル「……コリントス、発射準備。レーザー誘導、舷に!」
マリュー「フェイズシフトに実体弾は聞かないわ!主砲、レーザー連動、焦点拡散!」

(ヘリオポリス内)
ミゲル「オロールとマシューは戦艦を!アスラーン!無理やり付いてきた根性、見せてもらうぞ!」
アスラン「ああ……」

トール「おい!あっちのモニターで、外の様子が見れるぞ!」
サイ達(頷きあう)

ミゲル「そーら落ちろー!」
キラ「ああ……!(千切れ落ちたシャフトのワイヤーを見て)」
ミゲル「ええい!」
キラ「コロニーに当てるわけにはいかない……どうすりゃいいんだよ!」
ミゲル「(ビーム砲発射後)やったか!?……!」
ミゲル「…!!」

アスラン「…!」

チャンドラII世「第4兵装バンクに被弾!隔壁閉鎖!」
マードック「ぐあ!くそったれめ!」

(ミサイルを撃つジン)

ナタル「迎撃!」
ロメル「間に合いません!」
フラガ「照準、マニュアルでこっちへよこせ!」
マリュー「面舵40度、全速!」

市民1「また戦闘が始まったのか!?」
アナウンス「警報レベルが10に移行しました。このシェルターは救命艇としてパージされる可能性があります。全員――」

ミゲル「くっそー!ちい、素早い!回り込め、アスラーン!!」
キラ「!あのモビルスーツ!?」
アスラン「キラ、君なのか!?」
ミゲル「もらったー!!」
キラ「!」
ミゲル「(ビームブーメランを喰らい)なにぃ!?」
キラ「うわああああ!!!」
ミゲル「うぐああああああああ!!!」
アスラン「ミゲルーーーー!!」

フラガ「く…!」

(主砲を発射し、ジンを撃墜すると同時にシャフトにも当たる)

マリュー「!」
フラガ「しまった!」
マシュー「オロール!くそぉ!!」
マリュー「これ以上、コロニーに損害は与えられないわ!」
ナタル「ではどうしろと言うんです!沈められろとでも!?」

(見つめあうイージスとストライク)

ナタル「ストライク、なにをやってる!こちらは敵の攻撃を受けている!」
マシュー「アスラン!どこにいるんだアスラン!」
キラ(アスラン……まさか……!)
アスラン「キラ!キラ・ヤマト!」
キラ「!?」
アスラン「やはりキラ、キラなのか!」
キラ「アスラン、アスラン・ザラ!」

(撃墜されたジンから発射されたミサイルがメインシャフトを直撃)

アークエンジェルの皆「!!」

キラ「なぜ、なぜ君が!」
アスラン「お前こそ、どうしてそんなものに乗っている!?」

(ヘリオポリス崩壊)

アナウンス「強制退去命令実行します」

アデス「隊長……」
クルーゼ「……」

(空気と共に外に吸い出されるストライク)

キラ「ああ!うあああああああああああ!!!」
アスラン「キラぁ!!」



(ED)




予告「失われたもの、それは当たり前の時間と信じていた未来。戻らぬものの大きさを、虚空に散る大地に知ったとき、少年達は何に向かおうとするのか。伴わない感覚の中、迫る現実は彼らを追いたて、開くゲートの先に広がる戦いの闇は果てしなく暗く、深い。次回、機動戦士ガンダムSEED『サイレントラン』。その闇を切り裂いて開け、ガンダム!」